AIにブログを書かせたら、深夜に通知を連発した話。自動化システムに「記憶」を持たせる技術

Introduction

「自動化すれば楽になる」——誰もがそう夢見ますが、制御なき自動化は深夜のトラブルを引き起こします。
本記事は、自律型AIが「記憶」を持たずに暴走し、深夜2時に通知を連発した失敗談(実話)です。
なぜAIは暴走したのか? そして、どうやって「Kinesis ID(識別子)」と「状態管理(State Management)」を実装し、安全な自動化システムを構築したのか。その技術的教訓を共有します。

深夜2時の「テスト通知」

「自動化(Automation)」という言葉には甘美な響きがあります。
寝ている間にAIが記事を書き、WordPressに投稿し、SNSで拡散してくれる——そんな夢のようなシステムを構築しようとしていた、初期テストでの出来事です。

私たちが開発した投稿システム(Code Name: Kinesis Loader)は、Git上のMarkdownファイルを検知して自動で記事化する優れものでした。
しかし、実装初日の夜、自分のスマホを見て背筋が凍りました。

テスト用に登録していた自分の端末に、「新着記事のお知らせ」が5件も連続で届いていたのです。
原因は、記事の誤字を修正してPush(保存)したことでした。
AIは修正のたびに「お、新しい記事だ!」と判断し、真面目に通知を飛ばし続けていたのです。

「これがもし、本番環境で顧客に向けて放たれていたら……」
私たちの「デジタル社員」は、働き者すぎて、空気を読む機能が欠けていたのです。

技術的課題:ステートレスなAI

原因は単純でした。システムが「過去に投稿したこと」を忘れていたのです。

1. タイトル変更の罠: AIが気まぐれにタイトルを少し変えるだけで、システムは「お、新着記事だ!」と判断して別記事として投稿してしまう。
2. ゴミ箱のゾンビ: 一度削除した記事と同じファイルを再送すると、ID衝突や重複作成(Duplicate)が発生する。
3. メタデータの欠如: AIが生成するMarkdownテキストには、WordPressのPost IDなんて書いてありません。

つまり、AIとWordPressの間で「この記事はこれのことだよ」という同一性(Identity)を共有する手段がなかったのです。

解決策:「Kinesis ID」による統制

私たちは、自動化システムに「記憶」を持たせるため、「Identity Locking(ID固定)」メカニズムを実装しました。

1. 「指紋」をつける (Persistent ID)

記事ファイルに、人間には見えない「デジタル指紋」のようなものを埋め込むことにしました。
具体的には、「発行日」と「記事タイトル」を組み合わせたユニークな文字列です。

これにより、たとえファイル名が変わっても、システムは「これは、あの時書いた記事だ」と識別できるようになります。

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2. 多重の検索ロジック (Logic Flow)

kinesisloader.php は、以下の順序で慎重に記事を照合します。

1. Search by ID: まず、上記IDを持つ記事がないかDBを検索(一番確実)。
2. Search by Title: IDがない場合のみ、タイトル一致を探す(移行用)。
3. History Check: 過去に処理したファイル履歴と照合し、不必要なループを防ぐ。

3. Notification Safety (安全弁)

そして何より重要なのが、「公開(Publish)」ステータスの廃止です。
AIが投稿する記事は、必ず「下書き(Draft)」として保存されます。

最後に人間が目を通し、「OK」ボタンを押した時だけ、初めて世界に公開され、通知が飛ぶ。
この「人間の承認」というフローをあえて挟むことで、誤爆のリスクをゼロにしました。

自動化は「スピード」ではない

エンジニアとして、私たちはつい「いかに速く、大量に回すか」に注力しがちです。
しかし、ビジネスにおける自動化の本質は「制御(Control)」にあります。

ただ暴走するフェラーリに価値はありません。
意のままに操れるハンドルと、確実に止まれるブレーキがあって初めて、そのスピードは武器になります。

AIという強力なエンジンを積むからこそ、私たちはより慎重な設計者(アーキテクト)であらねばなりません。
あなたのデジタル社員は、ちゃんと「記憶」を持っていますか?

この記事を書いた人: 野村 勇介 (ビューン)

AI Marketing Architect (Agentic Specialist)

AIエージェントを指揮し、「自律的収益構造(Autonomous Revenue System)」を設計するアーキテクト。BYUUUM合同会社 代表。単なるツールとしてのAI活用ではなく、ビジネスパートナーとしての「Agentic AI」実装を専門とする。WordPress × Pythonによる「プラグインに頼らない」堅牢なマーケティング基盤構築を提唱。

#GEO #AgenticWorks #WordPress
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